看護学部 学部長  高田 由美

東北の地で育む 地域貢献に繋がる看護の学び

本学は、東北地方でも早くから看護師の育成を始め、これまで学生と教職員が共に歩み続けてきた長い歴史と伝統を誇る大学です。秋田県秋田市に位置し、日本海に沈む夕日や四季折々の自然の風景が美しいこの地で、学生生活が皆さんの人生にどのような意味をもたらすか、想像してみてください。

看護はもともと私たちの生活の一部でしたが、19世紀に独立した職業としての地位を確立しました。この歴史を振り返ると、看護学を学ぶうえで、自らが生活を営む力を身につけることは基本となります。次に、看護の対象となる人々の立場から生活を観察し、その人々自身の力で生活できるようにサポートする能力を養うことが大切です。

2023年夏に秋田市を襲った豪雨は、人々の生活を一変させました。本学の学生ボランティアや教職員の支援活動を行い、私もその一環として、1日被災住宅の片づけ作業に参加しました。学生は、豪雨被害に遭った地域の方々の行き場のない悲しみといった思いや要望を受け止め、個々の状況に応じたボランティア活動を積極的に行っていました。

被災者の立場からその人の思いや生活を理解し、必要な支援を提供することは、看護の基本的な考え方と共通しています。学生のボランティア活動は、病院や施設、在宅などで行う看護学実習で学ぶ看護の考え方が活かされていました。

本学での看護の学びは保健医療福祉の分野だけでなく、広く社会に貢献できるものです。また、本学の長い歴史と伝統が育んだ教育資源は、皆さんが幅広く豊かな知識を身につけるのに役立ちます。過去の歴史を尊重しつつ、皆さんと共に新たな歴史を築いていくことを楽しみにしております。